旅路 | 猫背日記・東京篇

旅路

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人の顔に見えてきた。

おじさん、がんばれ。中身は重いが、いたわります。


さぼらない宣言したので映画2本鑑賞評(勝手に。)



その1 『キンキーブーツ』(すごい混んでた日比谷シャンテ、女子率高し)


「伝統のイギリス紳士靴を作っていた田舎の工場で、

 ドラッグクイーンのためのブーツを作ることになって・・・」

って話。ドタバタあり、コメディあり、ちょいホロリ、みたいな。

思ってたとおりというか、そんな突飛なことは起こらないものの、


自分、こういう定番っぽい話すごい好きなんで。


価値観を覆されるとか、意表をつかれるとか、思いもよらない、とかもいいんですけど。

王道のドラマ展開も安心して楽しむ娯楽、って感じで大好きで。

映画やねぇ~って、ポップコーン食べながらくすっと笑うようなやつ。

あと歌が入ってんのもいい。

ドラッグクイーンたちが歌って踊るシーンも楽しく、見事。

おうちでだらっとしながら見るのもいーな。

自分はあんましさえない元気がない日だったんで、映画館で見てよかった!

映画っていいなーってうれしさ溢れる帰り道をひさびさに体感した。


あとやっぱり、ドラッグクイーンのローラ。

この人が、すごいよかった。迫力のステージシーンもありますが

ドラッグクイーンになってない、普通の(ってゆったら語弊があるのかも知れないが)

デニムにセーターで、かつらつけてないシーンでも

かわいくて魅力的だったりして、感動した。

人間本来の魅力ってすごいな、やっぱり。


気弱な若社長、ローラを受け入れない工場の男性陣、職人のおじちゃん、

成功を手に入れたがる恋人、工場のおばちゃん、町のひとびと。

ちょっと「人間、何を大事にして生きてくか」みたいなことも考えつつ。

ため息つくようなことも起こるんだけど、間違っちゃないというか。

それぞれの価値観と、それぞれの生き方だなーとか思いました。


イギリス映画は、ブルーカラーの描き方に哀愁と温かみがあって、

うまいなぁと思わされることが多い。

ちょっと市井小説みたい。藤沢周平っぽいというか。

普通の人々の暮らしのなかにある、人生の波とか悲喜こもごも、

そんなものがやっぱり自分は好きで、

興味があるんだなーと思いました。




その2 『フラガール』(混んでた、シネカノン有楽町。年齢層若干高め)


時間が無理っぽくて一瞬あきらめかけたものの、

全力疾走で観に行った。


正解。

自分を走らせる、こういう時の勘はわりとよく当たる。


シネカノンが作る系の映画って基本的に好きなんだろうなー

よく見てるし。

その割に有楽町は行きづらいので、来るのは去年の「Dear フランキー」以来。


これも、自分の好きな定番系かな、と思ってたのです。

↑のキンキーブーツ同様、安心して見る系かな、と。

あらすじはわかってるし、番宣でも見てたし。

話の展開は、オーソドックスなのです。

ところが予想と外れていたことが、ひとつ。


こんなに泣かされるとは思わなかった。


ということ。4回くらい泣いたんでは。

我慢できないかんじで、びっくりするくらい泣いた。

何だったんだ。

この「フラガールががんばってる」感じが、今の自分に足りない最たるもので、

そこにぐっときてしまったのだろうか。


炭鉱にこだわりたい側の人たちがもうすげー昔かたぎで、

融通のきかないかんじで。

暴力とか頑固とかほんと苦手やし、

ちょっと出てきたらイライラするくらいやったけど、

その反動なのか。

ダンスにひたむきなのとか、友達とのとことか、それぞれの覚悟とか、

やたら泣けて泣けて。何だコレってくらい泣いてた。


フラの振りのひとつひとつに意味がある、って知ったし

映画で説明されたときも

「うーんこれあとで何かの時に使うな」って思って。

友達のときかと思ったら、あそこで使うか・・・

演出予想してても泣く始末。

お母さんのストーブのくだりとかも、わかってたけどまんまと。



結局、何がそんなに泣けたのかうまく説明がつかない。


おそらく、自分はやたら「生きる」ってことに弱い。

「生きてかなきゃなんねぇ」って言葉とか、

映画の各所にある、そういう種類の覚悟に

泣かされたんだろうな。


蒼井優も松雪泰子も素晴らしかった。

とくに蒼井優は、かわいいのかそうでないのかわかんない時もあるんだけど、

演技では無敵になる瞬間があると思う。

もうかわいいとかそういう価値観以上のものを放つ、唯一無二な感じ。

そして最終的にもってっちゃう、感じ。(花とアリスもそうだったな)


「この映画を見たあとはフラダンスを習いたくなるだろう」


なんてレビューをどっかで読みましたが、

むしろ厳粛さに打たれてしまって、

「フラ習いたーい」なんて言えない。